遺言書の検認はどんな手続き?
遺言書は、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3種類に分けられます。
この3種類の遺言のうち、公正証書以外の遺言書がが見つかったときは、遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」の手続きをしなければなりません。
難しそうな検認の手続きですが、どのような手続きで、どんなことに注意する必要があるのでしょうか。
検認の目的は何か
検認は、家庭裁判所が、相続人に対して、遺言の「存在」及びその「内容を知らせる」とともに、遺言書の形状や加除訂正の状態・日付・署名のほか、「遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きです。
その遺言書が、遺言者の自分の意志で作られたかどうかや、遺言書が法律的に有効であるか無効であるかを判断する手続きではありません。
ここを勘違いされていらっしゃる方が意外に多いのです。
自筆証書遺言が有効であるためには、民法に決められた形式に合っていることが必要になります。
その形式とは、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」(民法968条1項)というものです。
この形式をクリアできていない場合は、原則として無効となります。
検認の手続きはどんな手続き?
検認の手続きは、「遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」に申立書を提出して行います。
この際、基本的には次のような書類を申立書と一緒に提出する必要があります。
・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本(相続人の中に代襲相続人がいる場合や、父母や兄弟姉妹が相続人の場合には、追加の戸籍が必要です。)
・収入印紙800円
・連絡用郵便切手(裁判所に事前に確認すること)
・申立人の印鑑
検認の申立ての時には遺言書そのものは必要ありません。
また、提出当日は、申立書や書類の確認と受付のみですので、およそ30分程度で手続きが終わるはずです。
申立書の提出後、不備がなければ、申立から約2~4週間後に、家庭裁判所から相続人全員に、遺言書の検認期日(実際に検認する日)についての通知書が郵送されることとなります。
なお、「申立人以外の相続人」は、検認期日に出席するかどうかについて各人の判断に任されていて、欠席してもかまいません。
全員がそろわなくても検認手続は行われます。
指定された検認期日に家庭裁判所に出向き、遺言書を提出して、出席した相続人などの立会いのもと、封筒を開封して遺言書の検認が行われます。
そして、遺言書の用紙、日付、筆跡、署名押印や本文の内容が裁判所によって確認されて、その結果が検認調書に記載されると共に、遺言書原本に、検認済証明書を付けて契印(遺言書と調書の間に裁判所で押印します)した上で申立人に返還されます。
なお、検認済証明書を出してもらうには申請が必要で、その際、遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。
検認期日に欠席した相続人等に対しては、家庭裁判所から検認済通知書が送付されます。
封印のある封筒に遺言書が入っている場合
封印のある遺言書の場合は、家庭裁判所で相続人等の立会いのうえ開封しなければならないことになっています。
これに違反して開封してしまうと、5万円以下の過料に処せられますので要注意です。
ただし、開封したからといって遺言書自体が無効になることはありません。
なお、この「封印」というのは「封に押印がされているもの」のことであって、遺言書が封筒に入ってノリ付けしてあるだけのものは封印にはなりません。
なお、封印が無く、ただ封筒に入っているだけの場合でも、検認の手続きは必要です。
今回は、遺言書の検認手続き について書かせていただきましたが、いかがでしたか?
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