行政書士に相続を頼むとどうなる?実際の流れ・期間と依頼者のやるべきことを解説
こんにちは。行政書士のときたです。
葬儀が一段落したあと、「そろそろ相続の手続を進めなければ」と思いながらも、何から手をつければよいか分からず、日が経ってしまう——そういった状況の方から、ご相談をいただくことがあります。
行政書士などの専門家に手続きを頼むと決めたとしても、「実際にどのように進むのか」「自分達は何をすればいいのか」が見えないと、なかなか一歩が踏み出しにくいものです。そこでこの記事では、初回の相談から手続が完了するまでの流れを、順を追って整理しています。全体の見通しを持つことで、少しでも動きやすくなれば幸いです。
この記事のポイント
- 行政書士への依頼後は、戸籍収集・相続人調査・遺産分割協議書の作成などを代行してもらえるため、平日の役所や銀行への対応負担を大きく減らせます。
- 手続き全体の期間は、家族関係や財産内容によって異なりますが、不動産のみ、または預貯金のみのケースでは、おおむね1〜3ヶ月程度が目安となることが多いです。
- 遺産分割協議書への署名・実印の捺印と印鑑証明書の提出は、相続人全員で行う必要があります。
行政書士に依頼すると、何をしてもらえるのか
行政書士は、相続手続に必要な書類の収集・作成を代行できる国家資格者です。具体的には、主に次のような業務を担います。
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を収集し、法定相続人(民法で定められた相続する権利のある人)を確定する「相続人調査」
- 預貯金や不動産などの財産内容をまとめる「財産目録」の作成
- 相続人全員の合意内容を書面化する「遺産分割協議書」の作成
- 金融機関における預貯金の解約・払い戻し手続の代行
平日に役所や銀行へ足を運ぶ時間が取りにくい方にとって、これらを代行してもらえることは大きな助けになります。
ただし、行政書士が対応できるのは、相続人間に争いがない(または争いになる見込みがない)案件に限られます。
相続人同士の意見が対立している場合の交渉や代理は弁護士の業務です。また、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告は税理士が担います。
当事務所では、グループ内の税理士、提携の司法書士、弁護士と連携しておりますので、さまざまなケースの相続手続きに対応しております、安心してご相談いただけます。
初回相談から手続完了までの5つのステップ
ステップ1:初回相談・ヒアリング
まず事務所へ相談に来ていただき、家族関係・財産の内容・遺言書の有無などを確認します。
この段階で依頼者にお持ちいただくと話がスムーズになるものとして、次のものが挙げられます。
・相続人の氏名・連絡先のメモ(分かる範囲で構いません)
・通帳や郵便物などで確認できる金融機関名・口座情報のメモ
・遺言書が見つかっている場合は、その種類(自筆か公正証書かなど)の確認状況
*これらが手元にない段階でも相談は可能です。「何が分からないか分からない」という状態でも、ヒアリングを通じて整理していきます。
ヒアリングの内容をもとに、手続の全体像・費用の見積もりをご説明します。
お手続きの内容と費用に納得いただいたうえで、委任状をいただくなどして、正式に業務を開始させていただきます。
ステップ2:戸籍収集・相続人調査(目安:2〜4週間程度)
契約後、行政書士が職権(業務上の権限)を使って、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集します。これにより、法定相続人を正確に確定します。
この作業に要する期間は、転籍(本籍地の移転)の回数や、古い戸籍が残っている自治体の対応状況によって変わります。転籍が多い場合や、郵送請求が重なる場合は、1ヶ月以上かかることもあります。
この間、依頼者が役所へ出向く必要は原則としてありません。
ステップ3:財産目録(一覧表)の作成・内容確認(目安:1〜2週間程度)
相続人が確定したら、次に亡くなった方の財産の全体像を漏れなく整理します。行政書士が中心となり、手元にある資料の精査や必要に応じた公的証明書の取得を行い、「財産目録(または財産の一覧表)」を作成して依頼者様に内容を確認していただきます。
具体的な調査方法は財産の種類ごとに異なります。
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預貯金: 手元にある通帳や証書を確認して調査を進めます。なお、相続税の申告が必要なケースなど、状況や必要性に応じて金融機関から「預金残高証明書」を直接取得して正確な金額を確定させます。
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不動産(土地・建物): 毎年役所から送られてくる「固定資産税の納税通知書」を確認するほか、必要に応じて役所で「評価証明書(資産証明書)」を取得します。また、亡くなった方が農地や山林を所有していた可能性がある場合には、漏れを防ぐために役所で「名寄帳(なよせちょう)」を取得して隠れた不動産がないか精査することもあります。
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上場株式・投資信託など: 証券会社や信託銀行から定期的に送られてくる「取引残高報告書」などの通知書を確認し、銘柄や数量を把握します。
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自動車などのその他の財産: 車検証(自動車検査証)や登録済証を確認し、所有者の名義や車種、年式を確認します。そのほか、貴金属や骨董品、生命保険金(受取人指定の有無)なども必要に応じて確認・一覧化します。
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債務(マイナスの財産): プラスの財産だけでなく、借入金やローン、未払いの医療費・税金などの「負の遺産」も調査します。自宅に届く督促状や契約書のほか、必要に応じて信用情報機関(JICCやCICなど)への照会を行い、隠れた債務がないか慎重に確認します。
次のステップへ進む条件
作成した財産目録(一覧表)の内容について、相続人全員が「これで間違いがない」と合意できれば、いよいよ具体的な分け方を決める次のステップへと進みます。
ステップ4:遺産分割協議書の作成・署名捺印(目安:1〜2週間程度)
誰がどの財産を引き継ぐかを決める話し合い(遺産分割協議)の内容をもとに、行政書士が遺産分割協議書を作成します。
ここで一点、重要なことがあります。遺産分割協議書への署名・実印の捺印、および印鑑証明書の提出は、相続人全員が行う必要があります。行政書士や本人以外の人が代わりに署名・捺印することは、法定代理人などを除き原則としてできません。
離れて暮らす相続人がいる場合は、郵送でやり取りすることが一般的です。全員の署名・捺印が揃うまでの期間は、相続人の人数や連絡のとりやすさによって異なります。
ステップ5:金融機関での解約手続など遺産の名義変更と分割後に業務完了(目安:3〜8週間程度)
遺産分割協議書が整ったら、いよいよ最終段階である遺産の解約や名義変更といった「分割の実行」に移ります。
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金融機関での解約・払い戻し手続(行政書士の対応): 行政書士が各金融機関の窓口に出向く、または郵送手続を代行し、預貯金の解約や払い戻し手続を迅速に進めます。解約された払戻金は、遺産分割協議書の内容に則って、各相続人の指定口座へ正確に分配(送金)いたします。
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不動産の登記名義変更(相続登記): 遺産に土地や建物などの不動産が含まれている場合、法務局での名義変更(相続登記)が必要です。登記手続は「司法書士」の専門領域となるため、一般的には提携する司法書士へスムーズにバトンタッチ(または依頼者が司法書士へ直接依頼)し、確実な名義変更を行います。新しく作成された権利証(登記識別情報)は、司法書士からお返しいたします。
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業務完了と成果物の引き渡し: すべての解約金分配や手続が完了した後、行政書士が職権などで収集した戸籍謄本の原本一式、および署名捺印済みの「遺産分割協議書」の原本などを依頼者様にお返しします。これをもって、すべての業務が完了となります。
事例:父の預貯金を2人で分けたケース
ここで、手続の流れをイメージしやすくするため、具体的事例を一部脚色して事例をご紹介します。
設定
会社員の長男(仙台市在住)と長女(県外在住)の2人が、亡くなった父の複数の銀行口座に残る預貯金を分けるケース。長男は平日に役所や銀行へ行く時間がなく、行政書士に依頼することにしました。
経過
初回相談では、家族構成と口座のメモを持参し、手続の全体像と費用の説明を受けました。委任契約を結んだ後、行政書士が戸籍の収集と相続人調査を開始。父は若い頃に一度転籍していたため、郵送請求を含めて約3週間かかりました。
財産目録が整ったところで、長男・長女の2人で分割内容を話し合い、行政書士が遺産分割協議書を作成。長女には郵送で書類を送り、署名・実印捺印・印鑑証明書を返送してもらいました。
その後、行政書士が各銀行の解約手続を代行し、約2ヶ月で全手続が完了。長男が平日に役所や銀行へ行ったのは、印鑑証明書を取得するための1回のみでした。
※この事例は、手続の流れをイメージしていただくための架空の設定です。実際の期間や手続内容は、個別の状況によって異なります。
依頼前に確認しておきたいこと・注意点
手続期間は状況によって大きく異なる
上記のステップごとの目安期間はあくまで参考です。戸籍の収集に時間がかかるケース、相続人の数が多いケース、金融機関ごとに必要書類が異なるケースなどでは、全体の期間が長くなることがあります。
一方、財産がシンプルで相続人が少ない場合は、比較的スムーズに進むことも多いです。まずは相談の場で、ご自身の状況に合ったスケジュールを確認してみてください。
まとめ・ご相談について
行政書士に相続手続を依頼すると、戸籍収集から遺産分割協議書の作成、金融機関での解約手続まで、平日の窓口対応を含む多くの作業を代行してもらえます。依頼者ご自身に必ず必要な作業は、遺産分割の内容についての合意と、遺産分割協議書への署名・実印捺印、印鑑証明書の提出です。
「自分の状況だとどのくらいかかる?」「どこまで頼めるの?」という疑問は、実際に相談してみることで、具体的な見通しが立ちます。
行政書士・社労士ときた事務所では、相続手続に関する初回相談を無料で承っています。来所・ご訪問・WEB面談にも対応しておりますので、まずはご連絡ください。
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