自筆証書遺言を安心してつくるためのポイント

遺言書の作成は、将来を見据えた大切な作業です。

にもかかわらず、多くの人にとってその作業は複雑で、遺言の何をどう考えて、何からはじめれば良いのか分からないもの。

この記事では、遺言書を安心して作成するための5つの重要ポイントをご紹介します。

あまり身近ではないが重要な文書である遺言書について、不安を払しょくし、後悔のない意志表示を実現するための手助けとなることでしょう。

読み進めるうちに、遺言書作成の不透明さが解消され、自信を持って次のステップに進めるようになるはずです。

遺言書の基礎知識 ~遺言書の種類とそれぞれの特徴~

まずは遺言書の種類をご紹介しましょう。

自分はどの遺言書をつくるのがいいのかを判断する材料にしてください。

遺言書には主に自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

自筆証書遺言は、全文を自筆で書き(財産目録などはパソコンで作成したり、通帳をコピーするなどしてもかまいません)、日付と署名をすることで有効となり、公証人を必要とせず、費用もそれほどかかりません。

一方、公正証書遺言は公証人と証人(2名)の前で作成されるため、法的な安全性が高いですが、それに伴う費用が発生します。

秘密証書遺言は、自ら作成した文書を封筒に入れ、公証人の立会いのもとで封印し、公証人に預けることで成立します。

自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、遺言者が自らの手で全文(財産目録などはパソコンで作成したり、通帳をコピーするなどしてもかまいません)、日付、氏名を書き、押印することによって成立する遺言書です。

作成にあたっては、法的要件を満たす必要があり、これには正確な日付や名前の記載、印鑑の押印などがあります。

自筆証書遺言は、専門家を介さずに個人で作成できるため、費用を抑えたい場合に適しています。

ただし、遺言書の内容に誤解や紛争の余地がないように、明確かつ慎重に記述することが大切です。

自筆証書遺言の正しい作成方法

(1)明確な日付と署名

自筆証書遺言書の作成には、いくつかの必須条件がありますが、その中でも特に重要なのが明確な日付と署名です。

これらは遺言書の有効性を法的に証明する基本的な要素になります。

明確な日付は、遺言が作成された時点を示し、遺言者の意思が最新であることを示します。

また、署名は遺言者本人がこの文書を承認し、その内容に同意していることを示す証拠となります。

これらの要素が欠けていると、遺言書の真正性が疑われ、無効となる可能性があるため、遺言書を作成する際にはこれらを確実に含めることが極めて重要です。

(2)明瞭な表現を心がける

遺言書は、あなたの意思を正確に伝えるための法的文書であり、その内容が明瞭であることが求められます。

不明瞭な表現や曖昧な言葉遣いは、解釈の相違を生じさせ、結果として遺族間のトラブルの原因となることがあります。

したがいまして、遺言書に記載する文言は、誤解の余地がないように慎重に選ぶ必要があります。

(3)財産の分配指示

遺言書の主目的は、遺産相続における財産分配を明確にすることです。

基本的には保有するすべての財産を対象に記載すべきです。

そのためにはまず、財産の具体的なリストアップを行いましょう。

遺言書に記載する財産を明らかにしたうえで、それぞれの財産を誰に相続させるかを明記します。

可能であれば、付言としてその理由も添えると良いでしょう。

よくある質問と答え–遺言書作成の疑問を解決

遺言書作成に際しては、多くの方が様々な質問を持っています。

ここではよくある疑問に答えを提供し、遺言書作成における不安を解決します。

(1)遺言書はいつ作成するべき?

遺言書を作成する適切なタイミングは、ご自身の将来について考え始めた時です。

多くの人は、重要なライフイベントが発生した後、例えば父母や祖父母の死、あるいは大きな病気をした後に遺言書を考えます。

しかし、財産管理の観点からは、早いうちから遺言書を準備しておくことが家族の将来を守る上で重要です。

不測の事態に備え、遺産が望む通りに分配されるよう、落ち着いた状態で遺言書を作成することが望ましいでしょう。

遺言書は、自身の意志を明確に伝えるための重要なツールであり、適切なタイミングでの作成が家族への思いやりとなります。

(2)複数の遺言書がある場合、どうなる?

複数の遺言書が存在する場合、その有効性については注意が必要です。

基本的には、最新の遺言書に法的効力があります。

なぜなら、法律では遺言者の最終的な意志が反映された文書が優先されるためです。

しかし、最新の遺言書が適切な手続きや形式を満たしていない場合、無効とされることもあります。

その際は、以前の有効な遺言書が相続に関する決定を左右することになります。

このような問題を避けるためにも、専門家のアドバイスを受けるなどしながら、正確かつ最新の遺言書を作成することが重要です。

(3)遺言書の変更や取消は可能?

遺言書の変更や取消は、遺言者の意志があればいつでも可能です。

生活状況や家族構成の変化など、さまざまな理由で遺言内容を見直す必要が出てくることがあります。

変更を行う際には、新たな遺言書を作成し、その文書に「これ以前に作成した遺言書のすべてを撤回する」と明記することで、以前の遺言書の内容を取り消すなどすることができます。

遺言書作成サポート–専門家のアドバイスとサービス

遺言書の作成は、将来の不確実性に備え、財産や意志を明確に伝える重要な手段です。

専門家によるアドバイスとサービスを利用することで、法的な誤りを避け、安心して遺言書を作成することが可能になります。

遺言書の専門家である行政書士は、遺言の内容が明瞭で法的効力を持つよう支援し、遺言書の作成に関する様々なサポートをしてくれます。

専門家によるサービスを利用することで、遺族間のトラブルを未然に防ぎ、遺言者の意思が正確に実行されることにつながります。

専門家のサポートを得ることは、遺言作成の際の不安を軽減します。

まとめ–安心・確実な遺言書作成のために

ここまで、自筆証書遺言を作成する際の重要ポイントを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

遺言書を作成すると一口に言っても不安を感じる方のほうが多いでしょう。

しかし、適切な知識と準備をもって臨めば、安心して確実な遺言書を作成することが可能です。

そのためにもまずは、実際に遺言書を作成する前に専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

遺言書について理解すれば、心に余裕を持って未来を見据えた遺言書の作成ができるでしょう。